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大手ハウスメーカー富士ハウスの倒産事件

家というのは、ハウスメーカーで買うにせよ、工務店で買うにせよ、1,000万円を軽く超えるくらい高額な買い物になります。

しかも、契約してから引き渡しを受けるまでに数ヶ月という長い期間があるため、その間にハウスメーカーや工務店が倒産してしまう危険があります。

最悪の場合には、代金支払いをしたのに、途中で倒産してしまって家が建たなくなるということもあり得ます。

そこで、過去に実際に倒産したハウスメーカーの事件を紹介し、そこから学んで、契約しようとしているハウスメーカーや工務店が倒産しないかどうかを見分ける方法を教えます。

これからハウスメーカーや工務店と契約しようと考えている人は、ぜひ、最後まで読むようにして下さい。必ず役に立つことがあると思います。

富士ハウス株式会社は、2009年1月29日、東京地方裁判所に破産を申請し、同日破産手続開始決定がなされました。

富士ハウスは、静岡県浜松市に本社がある個人用木造住宅メーカーであり、関東から近畿圏まで78支店を設け、144箇所の住宅展示場に出店していました。

非上場の会社ではあったものの、2007年度の売上高は418億円あり、上場企業に匹敵する規模のハウスメーカーでした。

また、富士ハウスの住宅は、国土交通省による超長期住宅先導的モデル事業(通称200年住宅)の第1回公募にも採択されていました。

これだけ大規模なハウスメーカーの倒産ということで、施主(消費者)の被害は非常に大きなものであり、破産管財人によると被害は概ね以下のようなものでした。

【着工前】
被害者:1,458人
内損害額1,000万円以上の代金支払い者が16人

【着工後】
被害者:763人
内損害額1,000万円以上の160人(内2,000万円以上が22人、最大で3,000万円)
中途放置被害者:337〜506人

被害者の総数は2,221人、損害額1,000万円以上の被害者は176人にも及んでいます

富士ハウスの倒産による被害がここまで大きくなったのには、富士ハウスの営業手法に特殊な要因があったことにあると考えられています。

それをこれから詳しく説明していきます。

富士ハウスの異常な営業手法と代金支払い方法。

富士ハウスの営業手法には問題があり、営業マンが執拗な訪問営業を行い、契約するまでは退散しないという、押し売りまがいの手法をとっていたため、土地のさえ持っていない消費者まで、100万円〜200万円ほどの契約金を徴収されて放置されていた。

このような被害者が数百人規模で存在し、ひどいものでは昭和の時代に契約されたまま放置されているものもあった。

さらに、大きな問題として、倒産直前の1〜2年の間にとられた特殊な請負工事契約の手法が被害を拡大したと考えられている。

建築請負契約では、民法上は請負代金の支払い期限は引き渡しと同時となっているが、多くのハウスメーカーや工務店では、建築工事の進捗状況に応じて3〜4回に分割して支払われる形態が多い

しかし、富士ハウスは資金繰りに苦しんでいたと思われ、工事の着工までに全契約金額の7割相当の代金を前払いさせる方式に変更した。

さらに、倒産直前には、この契約すらも無視して、「円高還元セール」などと謳ってキャンペーンを打ち、またある時は単に「会社の指示」ということで、工事の着工まで相当の期間があいている契約者からも代金の7割以上(中には全額というのもあった)を入金させていた。

契約者の自宅まで営業社員が迎えに行き、銀行まで同行するという執拗な手口も取られていた。

このような集金行為が破産当日、一部では破産の翌日まで続いていた。

このように請負代金の支払い方法が以上なものであったにもかかわらず、一部の良心的な金融機関を除いては、各金融機関はその点について指摘することもなく、富士ハウスの約定にしたがって、多額の融資に応じていた。

建物の登記完了前は抵当権の設定ができないため、本融資ではなくつなぎ融資が行われるのが一般的ですが、一部の金融機関ではいきなり本融資を行っていたケースもあった。

ひどい例では、関西地方の某銀行は、地盤改良が終了したに過ぎない案件で、破産直前に住宅ローンの全額を融資し、顧客が知らない間に、勝手に富士ハウスの口座に直接融資資金を振り込むという信じられないような行為も行っていた。

富士ハウスは、国土交通省により超長期住宅先導的モデル事業(200年住宅)に採択されており、これを信頼して数あるハウスメーカーの中から富士ハウスを選んだという被害者も少なからず存在した。

国土交通省は、技術的側面のみから審査を行なって、経営状況についてはまったく調査をしてなかったのである。

認定後短期間で倒産するようなハウスメーカーを200年住宅として認定してしまった国土交通省にも大きな責任があると言わざるを得ない。

施主被害者の被害総額は約53億円で、そのうち重大被害者被害額にあたる分は約20億円程度であったと推定されている。

これだけの被害を与えておきながら、倒産以降、元社長が公の場で謝罪や倒産の理由を説明したことはなかった。

富士ハウスがこのような大規模な施主被害を発生させた大きな原因は、異常は契約内容と資金繰り悪化による異常な集金行為にある。

本社から各支店に対して、無理な集金ノルマが強力に課せられていたようである。

このような状況で粉飾決算が行われ、取引業者への支払い地帯をおこし、倒産というお決まりのパターンをたどっていったのである。

富士ハウスの倒産の後もアーバンエステートの倒産など、ハウスメーカーや工務店の倒産によって被害を受ける被害者は後を経たない。

ハウスメーカーや工務店と契約する際には、その会社の技術的な側面だけを見るのではなくて、必ず財務・経営状況も確認し、今後長年にわたって倒産する危険性がないかを必ず確認する必要があります。

富士ハウス事件から学べることは、資金繰りが悪化してきた会社は無理な集金をする傾向にあるということです。

支払いを急がせたり、工事の着工前に、過剰な代金の支払いを請求してくるなどのハウスメーカーや工務店は要注意です。

民法上、原則的には、代金の支払いは建物の引き渡しと同時です。ただ、多くのハウスメーカーや工務店では建築工事の進捗状況に応じて3〜4回に分割して支払うパターンが多いです。

工事の着工前に工事代金の半分以上や全額を請求してくるというのは異常であり、そういうハウスメーカーや工務店は要注意です。

上場している大手ハウスメーカーの場合は決算書類等がホームページで公開されているので、それを必ずチェックするようにしましょう。

上場していない中小規模のハウスメーカーや地元の小さな工務店の場合には、経営状況をチェックするのは難しいですが(経営事項審査の結果などである程度は調べられる)、近所の評判など、なんらかの方法で、出来る限り財務状況を調べて、倒産の可能性がないか徹底的に調べるようにしましょう。